第九&白鳥の湖 ウクライナ国立歌劇場管弦楽団2019

第九&白鳥の湖 ウクライナ国立歌劇場管弦楽団

音楽の力に圧倒される「第九」、伝統が息づく「白鳥の湖」
東欧の名門歌劇場が贈る特別なコンサート!

 ベートーヴェンの「第九」ほど音楽の力を感じられる交響曲があるだろうか。今や日本の年末には欠かせない風物詩となっているが、やはりこの曲には人を惹きつける魅力がある。私たちの日常では出会う事のない感動を超えるものがそこにあるのだ。
 ドイツの詩人で思想家であったシラーの作品をこよなく愛読していたベートーヴェン。このシラーの詩『歓喜に寄す』に音楽をつけようと思い立ってから完成までに約30年。交響曲の第4楽章に独唱と合唱、すなわち人間の声を入れるというのは当時では他に類を見ない手法であったが、それがベートーヴェンの最高傑作となった。作曲家でありながら聴力を失ったベートーヴェン。運命を受け入れた苦悩の天才によって創られた暗闇と混沌からの輝く希望、そして崇高な“人類愛”。第4楽章でバスによって歌われる最初の歌詞はシラーではなくベートーヴェンによって書かれている。<おお友よ、このような音ではない!もっと心地よい、もっと喜びに満ちあふれた歌を歌おうではないか>そしてシラーの詩の独唱を始め、やがて合唱団、ソリスト達へと引き継がれる。荘厳でドラマティックに歌い上げられる圧巻の“歓喜の歌”。湧き上がる力、明日への希望を与えてくれる。
 そしてもう一曲は、組曲「白鳥の湖」。世界的国立劇場には歌劇(オペラ)とともにバレエ団が欠かせない。ウクライナ国立歌劇場も“キエフ・バレエ”でお馴染みの国立バレエ団を擁し、その演奏を担うのがこの管弦楽団。「白鳥の湖」は正に十八番、旧ソ連の流れをくむウクライナ国立歌劇場にとって、このチャイコフスキーの傑作は伝統のレパートリーである。バレエを知る演奏者達による「白鳥の湖」。その強さと儚さ、息づかい。彼らの音楽はバレエとともにあるのだ。
 緻密な構築の上に成り立つベートーヴェンの「第九」、ロマンチックなメロディメーカー、チャイコフスキーによる「白鳥の湖」、対象的な2作品が揃うウクライナ国立歌劇場ならではの年末の特別プログラム。濃密なコンサートでこの一年を晴れやかに締めくくろう。

予定プログラム

チャイコフスキー バレエ組曲「白鳥の湖」作品20
ベートーヴェン 交響曲第9番 ニ短調 作品125 “合唱付き”

出演予定

  • ミコラ・ジャジューラ

    ミコラ・ジャジューラ(指揮)

     チャイコフスキー記念キエフ国立高等音楽院を卒業(1987年、R.コフマン教授のクラス)。1986年から88年にかけてロシアのオムスク交響楽団の首席指揮者をつとめる。1989年ウクライナ国立歌劇場の指揮者に就任、以降プッチーニ、ヴェルディ作品をはじめ、主要オペラを指揮。1996年より、ウクライナ国立歌劇場の指揮者と同時に、ウクライナ国立フィルハーモニーの首席指揮者および芸術監督の地位にある。熟練した技術と偉大な才能、組織のリーダーとしての素質を兼ね備えた指揮者としてウクライナの音楽界を牽引している。

  • 辻  志朗

    清水 敬一(合唱指揮)

     早稲田大学理工学部電気工学科卒業。指揮法を遠藤雅古、V. Feldbrill, 合唱指揮を関屋 晋の各氏に師事。国内外の音楽祭・作曲コンクール・合唱コンクールの審査員を歴任。著書に『合唱指導テクニック』、『合唱指揮者という生き方-私が見た「折々の美景」』。現在、全日本合唱連盟およびJCDA日本合唱指揮者協会理事、東京芸術大学および同大学附属音楽高等学校講師。

  • オクサナ・クラマレヴァ

    オクサナ・
    クラマレヴァ
    (ソプラノ)

  • アンジェリーナ・シヴァチカ

    アンジェリーナ・
    シヴァチカ
    (メゾ・ソプラノ)

  • ドミトロ・クジミン

    ドミトロ・
    クジミン
    (テノール)

  • セルゲイ・マゲラ

    セルゲイ・
    マゲラ
    (バス)


  • ウクライナ国立歌劇場管弦楽団

    ウクライナ国立歌劇場管弦楽団

     ウクライナ国立歌劇場管弦楽団は1834年に誕生した歴史と伝統を誇るオーケストラ。1880年代にはチャイコフスキーを劇場に招いて、オペラ『スペードの女王』『エフゲニー・オネーギン』などを上演し、成功をおさめた。1891年にはチャイコフスキー自身の指揮で彼の作品を上演し、キーロフ劇場やボリショイ劇場に続く劇場として称賛した。そのほか、リムスキー=コルサコフ、ラフマニノフ、グリエール、グラズノフ、ショスタコーヴィチなど錚々たる作曲家がこのオーケストラを指揮している。ヴェルディ、プッチーニ、チャイコフスキー、ムソルグスキーなどのオペラ作品、チャイコフスキーのバレエ作品をはじめ、近年ではベートーヴェン、ブラームス、マーラーなどの交響曲も演奏。オイストラフ、ギレリスなどの巨匠とも共演している。ドイツ、フランス、ポーランド、スイスなどヨーロッパ各地でも公演を行い好評を博している。

  • 晋友会合唱団

     関屋 晋を常任指揮者とした合唱団の集合体として活動を開始。現在コーラスマスターは清水敬一が務め、オーケストラとの共演を主たる活動としている。1980年小澤征爾指揮・新日本フィル/マーラーの交響曲第8番《千人の交響曲》共演に際し、晋友会合唱団としてデビュー。ベルリン・フィル、ウィーン・フィル、ウクライナ国立歌劇場管などと共演。レパートリーは古典派・ロマン派から現代作品まで幅広く、国内外から注目を浴びている。

公演日程

公演終了