
8月に開催する「ウクライナ国立バレエ~親子で楽しむ夏休みバレエまつり~」の公演でMCとして出演する、幅広い世代から支持をされているバレリーナ芸人松浦景子さんと、”ちあこちゃんねる”でお馴染みのバレエダンサー本田千晃さんが特別対談!
共にYouTubeでバレエに関する話題を発信して活躍しているおふたりは、対談の日に初顔合わせながらすぐに意気投合して、お互いが目標にしている「たくさんの人にバレエの楽しさを伝えたい」という思いで臨む今回の公演についてや、バレエの作品について話してくれました。
―今年の「親子で楽しむ夏休みバレエまつり」は、東京公演のMCを“ちあこちゃん”こと本田千晃さんが、大阪公演のMCを“けっけちゃん”こと松浦景子さんが担当されます。松浦さんは一昨年、初めてMCとして登壇されましたが、いかがでしたか?
松浦:めちゃくちゃ楽しかったです!初めてバレエを観たんだろうなというお客さまもたくさんいらして、その熱気と興奮を一番近くで感じられました。各演目の物語や見どころを解説させていただいたので、どんな作品かを理解したうえで楽しんでいただけたかと思います。
あと「バレエをやってみましょう」という体験コーナーもあって、お子さんたちに簡単なバレエのポーズをしてもらったのですが、それが本当にかわいかった!
―初めてバレエに触れるお子さんも多かったのですね。本田さんは今回、初めてMCとして登場されますね!
本田:実は公演のMCをするのは初めてなんです。私は今も現役ダンサーとして踊っていますが、最近は教える機会も増えてきて、これまでのダンサー人生で感じたこと、習ってきたことを伝えていきたいと思うようになりました。今回のMCはその一環ですね。ちょっと緊張していますが、バレエの楽しさを存分に伝えたいと思います。
―おふたりとも、これまでウクライナ国立バレエをご覧になって、どんなところが素敵だなと感じられましたか?
本田:私がスロバキア国立バレエで踊っていたとき、ウクライナ出身の同僚がいたんです。誰かが困っているとすぐに手を差し伸べてくれるような方だったのですが、今年1月にウクライナ国立バレエの公演を拝見したとき、そういう情の深さが踊りにつながっていると感じました。ダンサーの内側から出てくる熱い想いも、ぜひお客さまに感じていただきたいです!
松浦:温かいお人柄の方が多いですよね。一昨年、私がMCとして参加したとき、初めての試みだったのできっとバレエ団の方々からすれば「誰?」状態だったと思うんです(笑)。でも、とても優しく迎え入れてくださって、踊りからもその温かさを感じました。
―松浦さんと言えば「バレエあるある」ネタでおなじみですが、ウクライナ国立バレエを近くで観ていて感じた「あるある」はありましたか?
松浦:海外ダンサーに多い「あるある」なのですが、舞台上だけでなく日常の感情表現も豊か。ウクライナの方々も優雅にきれいに踊ったあと、舞台袖にハケた瞬間どかっと座り込んで、全身で「疲れたー!」と表現するから、そのギャップがおかしくて(笑)。日本のダンサーって、舞台袖でも真面目に立って出番を待っていることが多いので、対照的ですよね。
本田:海外ダンサーあるあるですね(笑)。舞台に出るギリギリまで座っているから「そろそろ出番なのに大丈夫?」って思うんですけど、直前にパッと立って少し動いてすぐ出ていって踊り始めるのが、すごい!
―今回、観るのがとくに楽しみなダンサーがいたら教えてください。
本田:今年1月に開催された「ウクライナ国立バレエ」の来日公演〈初夢バレエまつり〉で、『コッペリア』を踊られたカテリーナ・ミルクーハさんがかわいらしくて印象に残っています。フレッシュな踊りが素敵だったので、楽しみです。
松浦:私は以前、『人形の精』のパ・ド・ドゥを踊っていたカリーナ・テルヴァルさん。私もその当時、同じタイミングで同じ踊りを練習していたので、身体の使い方が参考になりました。とくに上半身は、私が「これが最大」と思うよりずっと大きく使うのが印象的!あと、とにかくかわいくて……私はチャーミングさって、内側から出るものだと思っているので、カリーナさんは私生活から絶対かわいいんやろなと(笑)。
本田:ウクライナのダンサーは、ダイナミックに踊る方が多いですよね!身体ってここまで大きく動かせるんだなと私も勉強になります。


―おふたりとも、たくさんの作品を踊った経験があると思いますが、これから踊ってみたい作品にはどんなものがありますか?
本田:学生時代、(ジョージ・)バランシン振付の『タランテラ』を踊ったことがあるんです。バランシン財団から指導の方が来てくださったのですが、リハーサルでは2回連続で通して踊ることもあって……ただでさえハードな踊りなのに、連続だと倒れそうなほどしんどい。でも意外と中毒性があって、いつの間にか「もう一回やりたい!」という気持ちになってました(笑)。
―苦しくつらいことを乗り越えたあとに「あれはいい思い出だった」と思えるタイプなのでしょうか?
本田:そうかもしれません(笑)。苦しみ抜いた先に快感があるというか。
松浦:私は去年、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団(男性ダンサーだけで構成されたコメディ・バレエ団)に客演させていただいて、そこで『タランテラ』の男性パートを踊ったんですが、トロカデロ版の振付もめちゃくちゃ難しくて、しんどくて。楽しいんですけど、短距離走みたいなんですよね。
本田:『タランテラ』は全力疾走、体力勝負という感じですね! もうひとつ、『ラ・シルフィード』も同じで、パ・ド・ドゥだけでもしんどいのに、もう一回やりたくなる踊りです。プリエが多くて、抑えて踊る難しさがありますね。
松浦:私は演じるのが好きなので、お芝居のある役が好きです。『人形の精』もまた踊りたいですし、『アルレキナーダ』のヴァリエーションも好きです。あと、いつか舞台で踊ってみたいのが『ジゼル』第1幕の“狂乱の場”。子どものころ、ハンガーを剣に見立てて家で練習していました(笑)。〈演技名場面の寄せ集めガラ〉とかやりたいですね。
本田:それやってほしい(笑)!いつか踊ってみたい作品は、やはり『白鳥の湖』の全幕でしょうか。チェコのバレエ団で踊っていたとき、主役を踊るチャンスをいただいてリハーサルも初めていたのですが、その途中にスロバキア国立バレエに移籍することが決まり、結局踊れないままで……。あと、これまで『ラ・バヤデール』に縁がなくて、ニキヤもガムザッティも踊ったことがないので、一度はやってみたいです。ガムザッティは私のキャラとちょっと違うんですけど。
―『ラ・バヤデール』の第2幕は〈スペシャル・セレクション2025〉で上演されますね!演技の場面もありますし、本田さんがニキヤで、松浦さんがガムザッティはいかがですか?
本田:景子さんのガムザッティ、観てみたいです!
松浦:いやいや、そんな!『ラ・バヤデール』は“太鼓の踊り”だけは得意なんですよ。あれなら私でも溶け込めます(笑)。
―おふたりとも間もなく、ご自身の公演が開催されますよね。どんな舞台になるのでしょうか?
本田:私は一昨年から〈ちあこと愉快な仲間達〉という公演を主宰していて、今年は8月に大阪で『くるみ割り人形』を、東京で『ドン・キホーテ』を上演します。初めてバレエをご覧になる方が「楽しそうだから私もやってみたい」と思ったり、バレエから一度離れた方が「再開したい」と思ったりするきっかけになれば、と思っています。
松浦:私もバレエを一度も観たことがない方たちにも楽しんでほしくて、去年から〈けっけバレエ〉をいう公演を始めて、今年の8月にも大阪と東京で上演します。小さいころから学んできたバレエと、吉本新喜劇で培ったお笑いの基礎を掛け合わせた、私にしかできない舞台を作るのが目標です。実は去年、トロカデロ・デ・モンテカルロバレエ団に客演したとき、ちょっと悔しかったんです。お笑いの世界にいる私になぜこれができないんだ!って。トロカデロは男性ダンサーだけですが、けっけバレエでは「女子もすごいんだぞ」というのを伝えたいと思っています。
―初めての方も面白く、わかりやすく観られる工夫をされているおふたりだからこそ、今回のMCも楽しいものになると期待しています!楽しいお話をありがとうございました。
取材・文:富永明子(ライター)


親子で楽しむ夏休みバレエまつりMC(司会)
松浦景子
(大阪公演出演)
吉本興業(株)吉本新喜劇所属。3歳よりクラシック・バレエを習い始める。2013年大阪芸術大学の舞踊コースに入学し、バレエ学・コンテンポラリーダンス・ロックダンス・日本舞踊などを学ぶ。2015年に吉本新喜劇金の卵8個目オーディションに合格、吉本新喜劇所属の芸人となる。2024年日本初となるコメディバレエ単独公演を大阪・東京で開催。自身のYouTubeチャンネル「松浦景子の【けっけチャンネル】」は総再生回数が1億8000万回を超える。芸人でありながら国内外プロバレエ団の公演にバレエダンサーとしてゲスト出演するほか、メディアでもレギュラー番組を持つなど、多岐にわたり活躍している。

親子で楽しむ夏休みバレエまつりMC(司会)
本田千晃
(東京公演出演)
3歳よりバレエを始める。ソウダバレエスクールの宗田静子に師事。2009年より2年間スイス・バーゼル市立劇場バレエ団のスクールでクラシック・バレエ、モダン・バレエなど様々なジャンルのダンスを学ぶ。2009年夏、ロイヤル・バレエサマースクールのバレエコースに参加。2014年よりチェコの North Bohemian Theater ofOpera and Balletに入団し、「ジゼル」「くるみ割り人形」「真夏の夜の夢」など数々の主演作品を踊る。2016年にスロバキア国立バレエ団に移籍して「ジゼル」のペザント、「ドン・キホーテ」のキューピッドなど主要作品を踊る。2023年スターダンサーズ・バレエ団に入団。YouTube“ちあこちゃんねる”でも活躍中。
ウクライナ国立バレエ「親子で楽しむ夏休みバレエまつり」
MCによる解説付きでお届けするクラシック・バレエ名場面集!お子様と一緒に楽しめる人気公演!!
◆公演日程
「親子で楽しむ夏休みバレエまつり」
8月1日(金)14:00開演 NHK大阪ホール
8月9日(土)14:00開演 東京国際フォーラム ホールC
8月10日(日)11:00開演 東京国際フォーラム ホールC
8月10日(日)15:00開演 東京国際フォーラム ホールC
◆キャスト
アナスタシア・シェフチェンコ(プリンシパル)
イローナ・クラフチェンコ(プリンシパル)
アレクサンドラ・パンチェンコ(ファーストソリスト)
カテリーナ・ミクルーハ(ファーストソリスト)
エリーナ・ビドゥナ(ファーストソリスト)
カリーナ・テルヴァル(ソリスト)
ニキータ・スハルコフ(プリンシパル)
ヴォロディミール・クツーゾフ(プリンシパル)
ダニール・パスチューク(ファーストソリスト)
◆予定演目
「ゴパック」
「ラ・シルフィード」第2幕よりパ・ド・ドゥ
「コッペリア」第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
「海賊」第2幕より“花園の場”
「ゼンツァーノの花祭り」
「人形の精」よりパ・ド・トロワ
「ドン・キホーテ」 第3幕よりグラン・パ・ド・ドゥ
