Ballet Muses ₋バレエの美神(ミューズ) 2023- 出演者インタビュー Vol.1 永久メイ

マリインスキー・バレエでファースト・ソリストとして活躍し、国内外から注目を集めるライジングスター、永久メイさん。
今年11月には東京と大阪で開催される「Ballet Muses -バレエの美神2023- 」に出演されます。ブノワ賞へのノミネート、新作上演についてなど、現地での活躍の様子や、「バレエの美神 2023」で披露される演目についての見どころや意気込みを伺いました。


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Q. 今年6月には、 ブノワ賞にノミネートされ日本でも大きな話題となりました。ノミネートを知らされた時は忙しくて実感が湧かなかったとのことでしたが、ブノワ賞の記念ガラ公演も終わった今、振り返ってどんなお気持ちですか?

ブノワ賞の結果とともに、ボリショイ劇場で踊れることも嬉しくてワクワクしていました。記念ガラ公演の前後はとても忙しく、前日に違うガラで他の国にいて、モスクワに着いた翌日に記念ガラ公演で踊り、またすぐ次の日にサンクトペテルブルグに帰るというスケジュールだったので、ボリショイ・バレエのダンサーとお話する時間もないくらいでした。
今でもモスクワにいる夢を見たような感覚で、あまり実感は湧かないですね。特にノミネートされたからといって、練習の仕方が変わったということはないですが、今は少し自信を持っていいのかなと感じています。こういった機会をいただけてとても感謝しています。

Q. ボリショイ劇場で踊ったのは初めてとのことでしたが、どんな印象でしたか?よく舞台が大きいと聞きますが、いかがでしたか?

それがびっくりすることに、舞台が大きいとは感じませんでした。いつもワールド・バレエ・デーなどで見ていたスタジオで、朝のクラスレッスンを受けましたが、スタジオの方が舞台より傾斜が急で、すごく大きいなと感じました。

Q. 記念ガラ公演では、トップバッターで踊られていましたよね?

はい、実は困ったなと思っていました。というのも、初めに表彰式が45~50分あって、ずっと座っているんです。慣れないヒールを履いてうずうずしていて、20分くらいの休憩後すぐに着替えてポワントを履いて踊ったので、切り替えが大変でした。けれど、パートナーはマリインスキー劇場でも一緒に踊っていたフィリップ・スチョーピンだったので、サポートしてくれて助かりました。

Q. ノミネートされたのは、昨年デビューされた『眠りの森の美女』(以下『眠り』)のオーロラ姫でしたね。

全幕の主演デビューはすごく久しぶりで、2020年3月の『ロミオとジュリエット』以来でした。2022年の9月頃からパートナーと本格的に練習を初めて、11月にデビューしました。

「眠りの森の美女」(振付:マリウス・プティパ)
相手役はフィリップ・スチョーピン

Q. デビューが 決まった時は、どんなお気持ちでしたか?

『眠り』という三大バレエの一つを伝統あるマリインスキー劇場で踊れるのは嬉しかったのですが、不安の方が大きかったですね。というのも、色んなダンサーに「どのバレエ作品が今まで踊った中で大変でしたか?」と質問すると、ほとんどの人が、「『眠り』の一幕がどの作品よりも一番きつい」と答えるのです。心の準備はしていたんですけど、実際一幕を踊り終わった後は、二幕三幕踊れるか不安に感じるほどに疲れていて、みんなが言っていることがよくわかりました。でもそこまで疲れ切っていたため、余計な力が入らず三幕は不思議と踊りやすかったです。

Q. リハーサルではどんなところに気を付けましたか?

オーロラ姫はヴァリエーションもパ・ド・ドゥもとても有名でシンプルな分、粗が見えやすく、バレエのスタイルの違いが特にはっきり見える作品だなと感じます。デビュー前にはいつもやっているのですが、たくさん動画を見て、ロシア・スタイルや、それ以外にもいろんなスタイルのものを参考にしました。
パリ・オペラ座バレエ団や英国ロイヤル・バレエ団も見ましたが、振りが一緒のところでも手や足の使い方は全然違っていて、すごく面白かったです。マリインスキー・バレエのビデオでも、ソ連時代のアーラ・シゾーワさんやイリーナ・コルパコワさんといった、今はもう指導に回られているような人たちの映像を見て、当時のスタイルに近づけるように研究しました。

Q. ソ連時代と今とでは、具体的にどのような振りの違いがあるのでしょうか?

例えば、大きなリフトの後に男性が女性を床におろす際のポーズなどです。でも他にもたくさんの違いがあります。顔の使い方なども含めて、ソ連時代のバレリーナの映像も参考にしながら、演じるシーンのイメージにあったものを取り入れました。

Q. マリインスキー・バレエでは、ここ数年で一番大きな新作として『ファラオの娘』が話題になり、永久さんは5月に準主役のラムゼでもデビューされました。ラムゼはどんな役ですか?

主役のアスピチアの親友という役どころです。『海賊』のメドーラとギュリナーラみたいな関係です。

Q. 慣れ親しんだクラシック・バレエとは違った動きだったとのことですが、実際に踊ってみてどうでしたか?

いつも右手を上げるポジションなのに左手を上げたり、弓を持つときは動きごとに持ち手を変えなくてはならなかったりといった、細かく気をつけなくてはいけない箇所がすごく多かったです。マリインスキー・バレエに入って、大きな作品が一から創り上げられていくのを目の当たりにするのは初めてで、振付家の意図を汲みつつも自分の個性を出しながら創作に携わる経験もできました。
また、普段はプリンシパルのヴィクトリア・テリョーシキナさんのようなスターたちとのリハーサルは少ないのですが、彼女たちのリハーサルの仕方や、どうやって個性を出していくのか等、役作りの過程を近くで見られたので勉強になりました。

Q. 今回のガラ公演「バレエの美神 2023」では、『ロミオとジュリエット』(A/Bプロ)、『ジゼル』(Aプロ)、『眠りの森の美女』(Bプロ)を踊られます。どれも違う魅力のある役ですが、それぞれの見どころを教えてください。

この3つの演目は全く迷うことなくすぐ決めました。
どれも全然違う作品なので、ガラ公演を通して違うキャラクターを見てほしいです。ジュリエットは、初めて芽生えた恋に心浮き立つ少女を演じられたらと思います。オーロラ姫は、ジュリエットの笑う表情とは違って、もっと上品な笑い方だったり、プリンセスらしい一面を見せられたらいいです。『眠り』は、手や足、顔に至るまで決められた型があって、それにどれだけ沿って踊れるかが問われています。『ジゼル』の二幕のパ・ド・ドゥは、動きの流れや、妖精のようなシルエットをいつも心がけて練習しています。

「ロミオとジュリエット」(振付:レオニード・ラヴロフスキー)

Q. 相手役は、よく一緒に踊られているフィリップ・スチョーピンさんです。彼はどんなダンサーですか?

彼は、目の奥から表情が伝わるダンサーで、一緒に踊る際も相手の目を見て表現してくれます。私とは役への考え方や表現の仕方が似ているので、役作りに関しての苦労はあまりありません。
彼自身は踊り慣れていてそこまでリハーサルの必要がない『眠り』や『ジゼル』の時も、毎回リハーサルに来てくれて100%で対応してくれます。とても努力家でもありますし、ダンサーとしても、人としてもすごく尊敬しています。年上ですが私の要望を聞いてくれるし、いつも“バレリーナファースト”です。他のバレリーナもよく言いますが、彼と一緒だと踊りやすいし、どちらかに偏るのではなく、2人で作品を作り上げることができます。経験豊富なので、あまりうまくいかないステップがあると、「こうした方が良いんじゃない」とアドバイスをもらうこともあります。
ありがたいことにフィリップと踊る機会が多く、舞台を重ねるごとに踊りやすくなっています。

Q. 他の出演者で親交のある人はいますか?

ザンダー・パリッシュは、マリインスキー・バレエのダンサーの中で初めて会ったダンサーで、一年目で私が何もわからなかった時にも、すごく助けてくれたし、同じ寮に住んでいたこともあって親しくしてくれたので、再会するのが楽しみです。

Q.「バレエの美神 2023」へ向けての意気込みをどうぞ。

日本で踊れることはとても嬉しく楽しみですが、緊張も大きいと思います。 私とフィリップがまるでマリインスキー劇場で踊っているように、そして皆さんにもマリインスキー劇場で見ていただいているような…そんな夢のような空間と時間をお届けできたら良いなと思います。

Q. 最後に日本のお客様にメッセージをお願いします。

日本での公演は自分の中でも特別なことなので、このような特別な機会に、3つのパ・ド・ドゥを通して今の私にしかできない踊りや表現をお届けしたいですし、それを会場で感じていただけたら嬉しいです。ぜひ楽しみにしていてください。私も皆さんにご覧いただけるのをすごく楽しみにしています。

「ジゼル」(振付:マリウス・プティパ)

インタビュー・文/梶彩子(ロシア・バレエ研究者)
写真/マリインスキー・バレエ、(株)ジャパン・アーツ



ヨーロッパの名門バレエ団で活躍中のダンサーが出演し、夢の競演を果たします!

■「親子で楽しむ夏休みバレエまつり ヨーロッパ名門バレエ団のソリストたち」
【公演期間】2024年8月3日~8月4日
【開催地】東京

■「バレエの妖精とプリンセス ヨーロッパ名門バレエ団のソリストたち」
【公演期間】2024年7月26日~8月12日
【開催地】神奈川、群馬、愛知、大阪、宮城、秋田 ほか

その他の公演情報

■ ウクライナ国立バレエ「ジゼル」ほか
25年1月開催予定 ※詳細は24年8月発表予定

■ ジョージア国立バレエ「くるみ割り人形」
【公演期間】2024年12月開催予定
※詳細は2024年7月発表予定