「第九」 レニングラード国立歌劇場管弦楽団

世界中に響き渡る「歓喜の歌」。
名門オーケストラ、入魂の「第九」が今年もあなたの胸を熱くする!

 晩年、ベートーヴェンの机の上には、小さな文が飾られていた。東方文学の中にその言葉を見つけ、気に入り、書き留め、日夜その文を見ていたという。
 「われはいまここにある。われは、過去にありしすべて、また未来にあるすべてのものなり」
 まったく耳が聞こえなくなっていた晩年のベートーヴェンが「第九交響曲」を作曲している間にも、この言葉は彼に語りかけていた。
 
 私たちが一年ごとに年末を迎え、ベートーヴェンの「第九交響曲」を聴くとき、彼が気に入っていたというこの一文と同じような思いを抱く-「今年もまた、わたしはいまこうして『第九』を聴いている。いままでのわたしはわたしそのものであり、やがてやってくる新しい年もわたしはわたし自身であるのだろう」と。

 ベートーヴェンが敬愛する詩人シラーの『歓喜に寄す』に感銘を受け、この詩に曲を付けようと思い立ったのが、まだ青年であった23歳のとき。以来、その思いはずっと胸の奥深くに秘められていた。そして、「第九交響曲」の終楽章としてそれは結実した。ロマン・ロランによれば、「生涯の最後の重要な段階の大きな壁画のために、いわば遺言のために」この詩が選ばれた。思い立った時から、実に31年の時が流れていた。

 推敲に推敲を重ね、無駄をそぎ落とす一方、楽想の繰り返しにも熱い思いがこもり、4人の独唱者と合唱を伴う大交響曲となった「第九」。

 レニングラード国立歌劇場管弦楽団はこの感動大作を1997年以来、毎年年末に日本で演奏してきた。今年で14年連続。外国のオーケストラでこれほどのことをやってのけるオーケストラは他にない。そして、毎年わたしたちは、レニングラード国立歌劇場管弦楽団の「第九」に大きな感銘を受けてきた。同歌劇場で活躍する実力ある歌手を独唱者に配し、日本の緻密でパワフルな合唱団を従えて、あなたの2010年を締めくくる。