中国国立 上海バレエ団

本公演は2012年11月30日から2012年12月2日まで開催しました。

日中国交正常化40周年記念公演!

西欧の美意識の粋を極めた、ディーン版「白鳥の湖」。
東洋ならではの繊細な感性、軽やかで透明感のある踊りで魅せる。
高い技術と身体能力を持つダンサーが贈る、必見の名作悲恋!
クラシック・バレエの進境著しいアジアの中でトップレベルの実力を誇る「中国国立 上海バレエ団」緊急来日!

※出演者、曲目、曲順は変更になる場合がございます。予めご了承ください。
※未就学児のご入場はご遠慮ください。

キエフ・バレエ ― タラス・シェフチェンコ記念ウクライナ国立バレエ ―

出演予定ソリスト

範暁楓(ファン・ショウフン)
呉虎生(ヴー・フーション)
ほか

予定プログラム

白鳥の湖 デレク・ディーン版 〜全4幕〜
総裁・芸術監督:辛 麗麗(シン・リーリー)
指揮:オレクシィ・バクラン
演奏:東京ニューシティ管弦楽団

音楽:P.I.チャイコフスキー
振付・演出:デレク・ディーン
美術・衣装:ピーター・ファーマー
リハーサル指導:アマンダ・エルス

  • 上演時間:2時間45分
  • 休憩あり

主演予定ソリスト、プロフィール

  • 範 暁楓(ファン ショウフン)

    範 暁楓(ファン ショウフン)

    上海バレエ団
    プリンシパル
    国家一級演員

    1996 年上海バレエ学校卒業。 叙情的な表現に優れ、バレエ団を代表するバレリーナとして活躍。「白鳥の湖」「コッペリア」「ジゼル」等の古典作品や、「ザ・バタフライ・ラヴァーズ」「マルコ・ポーロ―最後の使命」等の創作作品も踊る。2000年第19 回ヴァルナ国際バレエ・コンクール金メダル受賞。

  • 呉 虎生(ヴー フーション)

    呉 虎生(ヴー フーション)

    上海バレエ団
    プリンシパル
    国家一級演員

    2003年上海バレエ学校卒業。強靱なテクニックと気品を併せ持つ、バレエ団の若手を代表するダンサー。レパートリーは「白鳥の湖」「くるみ割り人形」「ロミオとジュリエット」や現代作品等。2007年第4回上海国際バレエ・コンクール金メダル、第9回ニューヨーク国際バレエ・コンクール銀メダル受賞。


  • ※主演は上記ペアの他、もう一組の出演を予定しております。配役の発表は公演当日となります。

来日予定ソリスト

  • 張 文君(チャン ウンチュイ) 張 文君
    (チャン ウンチュイ)
  • 陳 艶(チュン イェン) 陳 艶
    (チュン イェン)
  • 項 潔艶(シャン ジェイェン) 項 潔艶
    (シャン ジェイェン)
  • 趙 菡氷(チャオ ハンビン) 趙 菡氷
    (チャオ ハンビン)
  • 周 海波(ジョ ハイボ) 周 海波
    (ジョ ハイボ)

  • 張 堯(チャン ヤオ) 張 堯
    (チャン ヤオ)
  • 李 晨晨(リー チェンチェン) 李 晨晨
    (リー チェンチェン)
  • 馮 博 (フォン ブォ) 馮 博
    (フォン ブォ)
  • 鮑 徳黎(ブォ デーリー) 鮑 徳黎
    (ブォ デーリー)
  • 孟 繁宇(モゥ ファンユゥ) 孟 繁宇
    (モゥ ファンユゥ)

中国国立 上海バレエ団
Shanghai Ballet中国国立 上海バレエ団

1979年、バレエ「白毛女」上演チームを中心として設立。中国において、中国中央バレエ団(北京)と双璧をなすバレエ団。英国やフランスから指導者を招き、「白鳥の湖」「コッペリア」「ラ・シルフィード」「ロミオとジュリエット」等を上演。また中国の伝承に基づく「ザ・バタフライ・ラヴァーズ」等、創作上演も行う。アジア、ヨーロッパ、アメリカなど国外ツアーも盛んで、高い評価を得ている。
ダンサーは主に、タン・ヤンヤン(サンフランシスコ・バレエ プリンシパル)や加治屋百合子(ABTソリスト)を輩出した上海バレエ学校でハイレベルな教育を受け、ヴァルナ、パリ、ニューヨーク等の権威ある国際バレエ・コンクールで数多くの賞を受賞している。

バレエの伝統を持つ国際都市・上海より、名門バレエ団が記念すべき来日!!

20世紀前半、後に英国ロイヤル・バレエを代表するプリマとなるマーゴ・フォンテインがバレエを学び、また、バレエ・リュスの流れを汲む上海バレエ・リュスが活動していた国際都市、上海。バレエの歴史が刻まれているこの大都市から上海バレエ団が来日する。
 中国のバレエは高水準だ。その大きな理由のひとつに、プロのダンサーになる素質を持つものだけが入学を許されるバレエ学校のレベルの高さが挙げられる。入学試験では、脚( 尾てい骨から、かかとまで) が胴体( 尾てい骨から首の付け根まで)より何センチ長いかも測定され、基準値に満たなければ不合格となる。身体の柔軟性も、舞台映えするマスクも、もちろん「頭の良さ」も審査され、合格した者は、基礎からバレエを徹底的に教えられる。そうしてプロのダンサーが養成されていく。
 今回来日する上海バレエ団は、団員のそのほとんどが上海舞踊学校の卒業生だ。タン・ヤンヤン( サンフランシスコ・バレエ団プリンシパル)、加治屋百合子(ABT ソリスト) はじめ、国際コンクールのメダリストを何人も輩出している名門である。
 今回の来日演目『白鳥の湖』でオデット/ オディールを演じる範 暁楓(ファン ショウフン)は、伝統あるヴァルナ国際コンクール( ブルガリア) の金メダリスト( 2000年)。長身で、いわゆる小顔。『白鳥の湖』など古典バレエの評価も高いが、同時にコンクールではコンテンポラリー・ダンスでも洗練された動きを見せていた。中国のほかの実力派ダンサーとは少し異なる国際的なセンスが身についているのは、もしかしたら上海という土地柄かもしれない。
パートナーの呉 虎生(ヴー フーション)も上海舞踊学校在学中からその才能を認められていた逸材だという。
 さて、『白鳥の湖』は、デレク・ディーン版。英国バレエの伝統を汲むドラマティックな演出に、ピーター・ファーマーのシックな美術が演劇効果をさらに高める。主人公たちだけでなく、悪魔はもちろん家庭教師ら脇役も細かい演技でドラマを作り上げてゆく。この作品の最も有名な場面、第二幕湖畔のシーンでは、長身ぞろいのダンサーたちの白鳥の群舞が、ディーン独自の変化のあるフォーメーションを描き、幻想的な場面を作り上げることだろう。日中国交正常化40 周年の今年、中国の名門・上海バレエ団の日本公演は、この秋、注目すべき芸術イベントだ。

舞踊評論家 桜井 多佳子

photo:陳倫勛、夏文宇