バレエとダンス~2つの踊りは、どう違うのか?~ (後編)

バレエ と ダンス

「バレエ」と「ダンス」、どちらも踊ることに違いはありませんが、同じスタイルではありません。「バレエ」と単純に表現してもそれは時代に沿って変化を遂げていますし、(ひと)(くく)りに「ダンス」と言っても数多くの種類があります。踊りがどのように発展していったのか、大きな流れがわかるように、バレエの簡単な歴史と共に、さまざまなダンスの種類と特徴をご紹介します。


2回に分けて掲載しています。  

第1回(前編): 

  • Ⅰ.バレエとは? 
  • Ⅱ.バレエとダンスの違いとは? ~バレエから派生した新しいダンスへ(モダン・ダンス、モダン・バレエ、コンテンポラリー・ダンス)~ 

第2回(後編):(←今回はココです) 

  • Ⅲ.ダンスとは?:さまざまなダンスの種類 (ジャズ・ダンス、ストリート・ダンス、社交ダンス、その他) 
  • Ⅳ.バレエとダンス 自分で習うとしたら?

Ⅲ ダンスとは? さまざまなダンスの種類

「ダンス」という言葉は「踊る」という意味で多様に使われています。「バレエ」は踊りの一種なので、広く捉えればダンスの中の種類ということになります。バレエから派生した踊りには、前編で述べたように、いくつかの呼び方がありました。

「ダンス」とは踊ることの総称なので、時代やスタイルによって多種多様な名称がついています。ここでは20世紀以降に生まれた、さまざまな「ダンス」の種類とスタイルを紹介していきます。

1 「ジャズ・ダンス」~バレエから派生したダンス

 これまでにお話しした通り、モダン・バレエのほか、モダン・ダンスとコンテンポラリー・ダンスも広い意味で、バレエにルーツを持つと言えるでしょう。そして、実はジャズ・ダンスもバレエから派生しているのです。

 ジャズ・ダンスは1920年代、アメリカでジャズの演奏に合わせて踊ったのが始まりです。それがジャズの音楽と同様、複雑に発展していきました。ジャズ・ダンスの中にも、ジャズ、ヒップホップジャズ、R&Bジャズ、ジャズファンク、ヒールジャズ、ストリート・ジャズ、フリースタイル・ジャズなど、使用するジャズ音楽の違いなどによってたくさんの種類があります。そして、現在ジャズ・ダンスを踊る際の音楽はジャズと限られているわけではありません。

 ジャズ・ダンスには、バレエの要素が基本にあるので、バレエのレッスンに励み基礎をしっかり身につける必要があります。正しい姿勢で、体の軸を意識して踊ります。ジャズ・ダンスは「バレエを基礎にした限りなくフリースタイルなダンス」なのです。ショーダンス、劇団四季、宝塚歌劇団、テーマパークのダンサーが踊っているのもジャズ・ダンスです。

2 「ストリート・ダンス」

 1970年代に注目されて急速に広まっていったストリート・ダンスは、文字通りアフロ・アメリカ系の若者がストリートで踊っていたダンスがルーツで、ビートが強い音楽に合わせて踊るのが特徴です。時代で大きく2つあるいは3つに分かれます。とても多くの種類があり、今も多様な種類が生まれ続ける、現在の主流のダンススタイルです。

 オールドスクール:1970~80年代に流行したダンスの総称です。ブレイク(BREAK)、ポップ(POP)、ロック(LOCK)、ワック(WAACK)、ソウル(SOUL)ほか。

(日本では、オールドスクールとニュースクールの間にミドルスクールと時代分類がされていて、ニュージャックスウィングの音楽が流行した時代が入ります)

 ニュースクール:1990年代以降のダンスの総称です。新しいステップがどんどん生まれ進化しています。ヒップホップ(HIPHOP)、シェイク(SHAKE)、クランプ(KRUMP)、ハウス(HOUSE)ほか多数。

 ストリート・ダンスは、その時代の音楽やカルチャー、ファッションなどと強く結びついています。

3 「社交ダンス(ボールルーム・ダンス)」 

 社交ダンスは、必ず男女がペアで踊ります。ボールルーム(舞踏室、会場やホテルなどの専用の大広間)で踊るダンスで、競技ダンスとしても知られています。男女が組んで踊るスタンダードと、アクロバティックな動きで男女が離れる踊りが入るラテンの2種類があります。

 競技ダンスは、スタンダードダンス(モダン):ワルツ、タンゴ(コンチネンタル・タンゴ)、スローフォックストロット、クイックステップ、ヴェニーズワルツ(ウィンナワルツ)5種。ラテンダンス(ラテンアメリカン):チャチャチャ、サンバ、ルンバ、パソドブレ、ジャイヴの5種で競われます。社交ダンスにはそのほか、ブルース、ジルバ、マンボなどの種類があります。社交ダンスは、日本では老若男女問わず根強い人気があります。

4 民族舞踊に起源を持つダンス

 民族舞踊を起源とするダンスにも、さまざまな種類があります。主な物としては、フラメンコ(スペイン)、アルゼンチン・タンゴ(アルゼンチン)、アイリッシュダンス(アイルランド)、フラダンス(アメリカ・ハワイ)、ベリーダンス(中東)、サルサ(ニューヨークのプエルトリコ系の移民が踊っていたダンスがルーツ)などが知られています。いずれも確固とした特徴を持ったダンスとして確立しています。そのほか、タップダンス(アメリカ南部の黒人によるダンスが発祥とされる)などもあります。さまざまなジャンルのダンスは、公演として開催されるステージでも鑑賞できますが、習い事として楽しんでいる人も多いです。

(左)アルゼンチン・タンゴ (右)フラメンコ
(左)サルサ (右)アイリッシュダンス

Ⅳ バレエとダンス 自分で習うとしたら?

鑑賞しているだけでは満足できない、そう感じたらぜひレッスンを受けにいきましょう。バレエもさまざまなダンスも、今は気軽にレッスンを受けられます。

◇バレエを習うとしたら

 大人になってバレエを習う方がとても増えています。かつての経験者だけではなく、いつかやってみたかったという方から、健康のためなど動機は様々です。バレエの教室を探すときは、ぜひ発表会があるところを選んでみてください。目標があると、レッスンも頑張れます。レッスン着としてレオタードなどに凝る楽しみだけでなく、発表会ではさまざまな衣装を着たり、ステージ用の特別な髪型、メイクなども経験できます。憧れていたバレエの世界を見ているだけでなく、自分のためにバレエ用品やバレエグッズを買うことにも楽しさやときめきを感じることでしょう。

 子どもが習う場合は、お稽古として楽しむためか、コンクールに出場したいのか、などの目的によって教室選びも変わってくることでしょう。コンクールといっても様々で、発表会のように初心者でも楽しめるコンクールから、プロを目指すためのコンクールまであります。まずは、教室を見学して雰囲気をつかみ、先生にお話を聞いてみましょう。バレエは日々のレッスンの積み重ねが大事です。続けることで技術的な上達や姿勢が良くなったり、集中力や協調性なども身についたりします。また、お友達や先生と一緒にバレエの舞台鑑賞などに行くと芸術性も養うことができます。バレエを通して得るものも多く、子どもの習い事にはぴったりです。

◇ダンスを習うとしたら

 ダンスには、本当に沢山の種類があります。個人の教室からスタジオまで数多くのレッスン場が存在していて、幅広い年齢層の方が通っています。ベリーダンスやフラダンスなどは、民族的な衣装に憧れて始める方も多いでしょう。普段のレッスンではレオタードにスカートを巻いたスタイルで行っています。ダンス用品や衣装を揃える必要も、ダンスの種類や段階によって様々です。社交ダンスやタップダンスなどは、早い段階から専用のダンスシューズが必要になってくるでしょう。始めたいと思った時にダンス用品を扱うお店で、衣装や小物を見てみるのもお勧めです。実際にどんな衣装があるのかを見て楽しめますし、教室の情報を聞いたりもできます。

 どんなダンスを踊ってみたいのかわからないような場合、ストリート・ダンスやジャズ・ダンスは種類の幅が広すぎて困ってしまうかもしれません。そんな時は、レッスンを見学したり、まずはお試しでトライしてみることが大事です。今は、簡単にスポーツジムなどで様々な種類のダンスを体験できるところもありますし、最初から本格的な教室を見学してプロの妙技を真近で見ることもできます。いずれにしても、講師の先生のプロフィールを見ることをお勧めします。どのようなバックグラウンドを持っていて、どんなジャンルが得意な方なのかがわかります。自分らしい、そして楽しく続けられるダンスとの出会いがあるといいですね。

文・結城美穂子(編集者、ライター)

(※舞台写真:光藍社過去のプログラム、公演写真より)


今回は、さまざまなダンスの種類と、バレエやダンスを習う場合の選び方をご紹介しました。

来月は、バレエをさらに詳しく「クラシック・バレエ」と「モダン・バレエ」の特徴と違い、についてご紹介していきます。どうぞお楽しみに。

第1回目:『バレエとダンス~2つの踊りはどう違うのか?~』前篇「バレエとは?」~はコチラ