バレエの神髄

本公演は2011年7月9日から2011年7月14日まで開催しました。

熱き思いを胸に、多彩な才能がぶつかりあう!

 『カルメン組曲』は、ホセ役にカリスマ・ダンサー、ルジマトフ、カルメン役には、いまや円熟の極みにいるプリマ、フィリピエワ、さらにホセの恋敵エスカミーリョ役にはマリインスキー・バレエきっての個性派コルプという超豪華なキャスティング。スター同士のぶつかり合いが、セクシーで刺激的なステージを生み出すことだろう。ルジマトフのソロ『シャコンヌ』は、アメリカ、モダンダンス界の巨匠ホセ・リモンの名作。ルジマトフのリクエストにより、ロシア人ヴァイオリニストとのコラボレーションが実現、緊張感あふれる舞台が期待できる。コルプのソロに関しては、まだ詳細は明かされていないが、おそらく彼のこと、斬新な舞台を作り上げてくるに違いない。

 ルジマトフが「真のアーティスト」と絶賛する白河直子の登場にも大いに注目できる。2005年、愛知万博でも上演されたダンスオペラ『UZME』で二人は初共演。強靭な肉体と研ぎ澄まされた感性、その身を捧げるかのような踊り。同質の美学を共有していることをルジマトフと白河は互いに認め合っている。今回白河が踊るのは、彼女を最も良く知る振付家、大島早紀子による『瀕死の白鳥』。伝説のプリマが踊り継ぐ名バレエと同じサン=サーンスの名曲にのせながら、しかし全く様相を異にするコンテンポラリー作品。やはり感動的な小品だ。

 ボリショイ・バレエのプリンシパル、アントーニチェワ&ヴォルチコフの参加も楽しみ。美しい身体のラインと柔らかな動きで独自の叙情を感じさせるアントーニチェワ、長い足と甘いマスクの典型的「王子様タイプ」のヴォルチコフ。二人は『白鳥の湖』と『ライモンダ』で、モスクワ派ならではのダイナミックでドラマティックな演技を堪能させてくれるはず。また、ボリショイ・バレエ唯一の日本人ソリストで、その真摯な生き様がNHKの『プロフェッショナル~仕事の流儀』でも紹介された岩田守弘は、キエフ・バレエの新星ハニュコワと『ラ・シルフィード』を踊る。まさにベテランの味。ハニュコワの可憐な踊りも必見だ。

 『バヤデルカ』を踊るのは、4月から放送されていたSMBC日興証券のCMで注目を浴びたマツァーク。純白のチュチュで日本人ダンサーと共演していた、あのスタイル抜群な美貌のダンサーだ。古典作品が彼女のモダンな感覚で、さらに華やかに彩られる。相手役はシドルスキー。スマートなエスコートはパートナーの美しさを際立たせ、そのサポートの優しさに、彼と踊ったどのバレリーナもが感動する。もちろんソロも、規範に沿い端正だ。そのシドルスキーはフィリピエワらと『マルキタンカ』も披露する。19世紀半ばにパリで生まれロシアで踊り継がれている作品。軽快な楽しさとともに、古風な美しさも味わいたい。

                                                                  桜井多佳子
  

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