聖夜のトランペット-クリスマス・スペシャルコンサート―

クリスマスの夜空に鳴りわたるトランペットの響き!
子供から大人まで、思い出に残る楽しいクリスマスコンサート。

 バッハの「アヴェ・マリア」―艶やかで、伸びやかで、まっすぐな音がこころの中心に届いてくる。人の歌声ではない、弦の響きでもない。それは、一本のトランペットが奏でる「アヴェ・マリア」だ。会場は一気に静寂な空気に包まれ、厳かな気持ちにさせられる。聴く人の誰もが、一本のトランペットの音がこれほど暖かく、優しいものであったのかと感じ入ってしまう。

 ロシアのトランペットの名手レオニド・コルキンが今年も来日して、2010年のクリスマスを彩ることになった。

 寒い冬に、こころを暖かくしてくれる音楽、そっと囁くような優しい音楽、じんわりと静かに染み入る音楽。クリスマスシーズンになるとどこからともなく、さまざまなクリスマス音楽が聞えてくる。そんな中で、空気が一段と澄み、星がくっきりとたくさん見えるこの時季の夜空を見上げると、トランペットの音が不思議とぴったりマッチする。

 コルキンがクリスマスシーズンに来日するのは今回で9度目になる。それほど多くの人が待ち望んでいる、ということだ。彼の演奏するトランペットの「音」は、どこまでものびやかで美しく輝き、その「技」は私たちが思い描く金管楽器のイメージを遥かに越えて、最弱音から最強音まで寸分の狂いもない。楽器の存在を忘れるほどに、まるで人間が呼吸するかのように自然に吹きこなす。そして何よりも、コルキンの音楽には溢れるほどの暖かい「愛」が満ちている。

 厳かな雰囲気で始まったコンサートも、プログラムが進むにつれて、次第に華麗さと楽しさが溢れてくる。トランペット、ピッコロ・トランペット、フリューゲルホルン、コルネットとさまざまな楽器を使い分け、音色の変化とともに、唖然とするほどの超絶技巧で吹きまくっていくのは圧巻。かと思えば、「夜空のトランペット」や「川の流れのように」をしみじみと奏でて、私たちの心をぐっとつかんで離さない。ガーシュインの作品でジャズ風な響きを聞かせ、映画音楽の名曲メドレーではあのシーンが甦ってくる。

 そして、とどめはお馴染みのクリスマスソングのオンパレードだ。ユーモアたっぷりのその演奏はいつ聴いても楽しい。

 過去8度の来日で、東京をはじめ各地での「クリスマス・スペシャル・コンサート 聖夜のトランペット」は満席につぐ満席、今年もその人気は変わることはないだろう。