ショパンの秋 ミシュク ピアノリサイタル2010
汲めども尽きない詩情、輝かしく高潔な香気。
ショパンのピアノ音楽の粋を、王道を歩み続けるミシュクが奏でる!
「もはや彼はこの地上にはいなかったのだ・・・・・・。その妙なる美しい想像力を、ほかならぬ神に向かっての独り言の中に浸しているようだった」窶拍覧ャ作家ジョルジュ・サンドは生活を共にするショパンについて、こう書き記した。確かに目の前で彼がピアノを演奏しているのだが、別の世界に行ってしまっているかのような不思議な感覚、霊妙さを彼女は感じたのだろう。そのショパンが生まれて今年でちょうど200年。2010年の今、ショパンは「この地上にはいない」。しかし、その音楽を通して彼は私たちの中で「生きている」。
そうした「生きているショパン」を聴かせてくれてきたのが、ウラジーミル・ミシュクだ。第9回チャイコフスキー国際コンクール(1990年)で第2位となり、そのフレッシュな感性と細部にわたってピアノを奏でるテクニックをもって、20歳代で日本デビュー。2000年冬からは毎年来日するようになり、その都度私たちは彼の奏でるショパンを聴いてきた。そこには絶えず、「生きているショパン」があった。ミシュクの30歳代と重なる来日公演の歩みは、39歳で夭折したショパンの後半生をなぞるかのようだった。
昨年1年間の充電期間を置いて、2010年の今年、「ショパンイヤー」の末尾を飾るべく、2年ぶりの来日を果たす。演奏プログラムは、誰もが知る傑作から隠れた美しい名曲まで、ミシュクが選びに選んだ「心の中に生き続けるショパン」の数々だ。
ショパンの作品を高く評価した同時代の作曲家で、ピアノのヴィルトゥオーゾでもあったフランツ・リストはこう述べている窶煤u(ショパンの作品は)豊かで巧みで厳しい想像力の手順を通過してきたものなのである。それらのすべては、把握するためには洞察力を要し、表現するためには繊細さを要求する」。この言葉の意味するところを、このピアノ・リサイタルが実感させてくれるだろう。
