エレーナ・フィリピエワ 7〜8月、来日3公演に出演!ワークショップ開催

素晴らしきバレエ界の至宝。 輝きを放ち続けるエレーナ・フィリピエワが夏の公演に出演!

エレーナ・フィリピエワエレーナ・フィリピエワ

エレーナ・フィリピエワは、ウクライナの名花と謳われ、世界的なプリマ・バレリーナとして名を馳せている。ウクライナは名ダンサーを生み出す地であり、マラーホフやザハーロワもウクライナ出身。彼らは新天地を求めて飛び立っていったが、フィリピエワは世界各国の有名バレエ団から声が掛かっても、故郷を離れなかった。世界中にゲストとして招かれ大スターと共演したが、「キエフに帰ることが幸せだから」という。彼女はキエフ・バレエ団が名門としての価値を保つために欠かせない国家の至宝であり、最高のアーティストなのである。

まだ少女のようなあどけない頃にアレクセイ・ラトマンスキーと踊った『シンデレラ』は、未だ名舞台として観客の心に残っている。また、若い頃のフィリピエワといえば、愛らしい容姿からは想像できないようなテクニックを駆使し、その高い技術は他の追随を許さなかった。『ドン・キホーテ』や『白鳥の湖』で魅せた、強靭で華やかなグラン・フェッテ・ロン・ドゥ・ジャンブ・アン・トゥールナン(32回転)は鮮やかに記憶に残っている。子供が生まれてからは、愛情に満ちた表現力が増して舞台に温かさが加わり、年齢を重ねた彼女のバレリーナとしての進化にはいつも目が離せない。

「親子で楽しむ夏休みバレエまつり」「キエフ・バレエ 華麗なるクラシックバレエ・ハイライト」で披露する『瀕死の白鳥』は、昨年惜しくも逝去したマイヤ・プリセツカヤから教えを受けた直伝の作品。プリセツカヤからは、「私の秘蔵っ子」と呼ばれ『カルメン組曲』などの代表作を、直接指導を受けた貴重な継承者である。波打つような細かい腕の動きは、短いドラマに劇的な感動を呼び起こし、消えかけていく命を掴もうと葛藤する白鳥の姿に、心を打たれずにはいられない。バレリーナなら誰もが憧れ、レパートリーに連ねたい作品ではあるが、完成度の高い舞台にお目にかかることはとても少ない。その中でもフィリピエワは唯一無二の時間を贈ってくれるだろう。

そして、世界の頂点が観られる「バレエの巨匠」にも出演し、斬新なジュベドキ振付の『カルメン』を踊る。アロンソ版『カルメン組曲』の名手でもあるフィリピエワが、このバージョンでは全く別の顔を覗かせる。背中の開いた黒のドレスに身を包み、肩や腕を印象付けるように大きく可動させ稀代の強い女性を演じるが、その力強さには圧倒されるだろう。ビゼーの楽曲に乗せたパートナーとのシンメトリーな動きが、痛烈なインパクトを残す作品である。

エレーナ・フィリピエワ

さらに、本国では教師としても評価の高いフィリピエワが、日本でワークショップを開催する。フィリピエワは、キエフ・バレエのソリストであるセルギイ・シドルスキーのようなベテラン・ダンサーから、若手の後進バレリーナたちに自分の経験を余すことなく伝えている素晴らしい教育者としての顔を持つ。レッスンでは、基礎やテクニックだけでなく、バレリーナの卵たちがいつか踊りたいと望むようなヴァリエーションも取り入れて、動きのプロセスを分かりやすく教えてくれるだろう。バレリーナを目指す人にとって、世界で認められているスターダンサーからの直接指導は、一生忘れられない夢のような時間となるに違いない。

エレーナ・フィリピエワは、バレリーナが必要とする資質のすべてを持ち合わせ、観客には常に奇跡のような完璧なパフォーマンスを魅せてくれる。彼女が舞台の上で燦然と輝く姿を、この夏ぜひ確かめてほしい。

高橋恭子(舞踊ジャーナリスト)

エレーナ・フィリピエワ出演日

「親子で楽しむ夏休みバレエまつり」
8月2日(火) 13:00開演 東京文化会館 大ホール
8月3日(水) 13:00開演 東京文化会館 大ホール
8月7日(日) 14:00開演 オリンパスホール八王子

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「華麗なるクラシックバレエ・ハイライト」
7月23日(土)~8月11日(祝) 全国公演

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「バレエの巨匠たち」
8月2日(火) 19:00開演 東京文化会館 大ホール
8月3日(水) 19:00開演 東京文化会館 大ホール
8月6日(土) 16:00開演 東京国際フォーラム ホールC

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「ダンスキューブ勝どきワークショップ」
エレーナ・フィリピエワ 1dayスペシャル・レッスン
8月15日(月) 17:00~19:00  

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オトナのためのファン・レッスン フィリピエワクラス
8月15日(月) 19:30~21:30  

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