レクイエム ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場管弦楽団

4年前の感動、再び!
鬼気迫るモーツァルト最後の作品が胸に迫る

必聴の〝マスト〟作品
 世にクラシック音楽ファンは数にして膨大であり、その嗜好は多岐だ。そうした音楽愛好家にとって、嗜好の枠を超えて、「一度は生(なま)で聴いておかねばならない」という〝マスト〟作品がいくつかある。例えば、ベートーヴェンの『交響曲第9番〈合唱付き〉』。CDで聴くのとは違う感動がそこにはある。ただ、『第九』は演奏機会に恵まれているので、一度ならず、何度でも体験することは可能だ。

 一方、だれもがその存在を知っていて、〝マスト〟と思っているのだが、なかなか接する機会に恵まれない作品もある。その筆頭が、モーツァルトの『レクイエム』だ。

モーツァルト「白鳥の歌」
 多大な借金による貧窮と、衰弱していく健康のただ中にあった35歳のモーツァルトに、依頼主が明かされることなく舞い込んだ作曲の注文。かつての栄光が薄れていくという失意と孤独も輪をかけ、依頼とはいえ、自らの人生を顧みながら作曲の筆に力を込めたであろう、『レクイエム(死者のためのミサ曲)』。そして数ヶ月後の冬、もう少しで完成というところで息絶えたモーツァルト―明快で幸福感に満ちたモーツァルトの作品にいつも親しんでいるだけに、深淵で胸にズシンとくるこの大作は、私たちに「是非とも、コンサートで聴いておかねば」という思いにさせられる。

スペシャリスト集団による演奏
 その機会が訪れる。モーツァルト生誕250年であった2006年、彼の主要オペラ作品6作品を一挙上演し、記念年の締めくくりとして『レクイエム』を演奏したワルシャワ室内歌劇場管弦楽団・同合唱団による再演だ。

 4年前の感動は今でも忘れることはできない。まさに入魂の演奏だった。それもそのはず、「ポーランド国立ワルシャワ室内歌劇場」は周知のように、モーツァルトのオペラ全作品を含む全26舞台作品を常時上演できる態勢にある〝モーツァルトのスペシャリスト〟集団なのだ。無論、モーツァルトの『レクイエム』も重要なレパートリーとなっており、本拠地ワルシャワで毎年開催される「モーツァルト・フェスティバル」での演奏機会は実に多い。

 あの時の感動から4年。日頃のモーツァルト研究に裏打ちされ、彼らの血肉となっている演奏は、この作品演奏のスタンダードであることを示してくれるに違いない。