ウィーン放送交響楽団
才知溢れる指揮者と、ウィーンきっての実力派として知られるオーケストラ。
絶妙のコンビネーションで、2つの名曲プログラムを放つ!!
実力を余すところなく発揮した、前回来日公演
2009年早春、ウィーン放送交響楽団がドミトリー・キタエンコを客演指揮者に迎え、2年ぶりの来日を果たした。
キタエンコの祖国でもある、ロシアの作曲家チャイコフスキーの作品を中心としたプログラムでは、チャイコフスキー独特の直截的な感情の吐露を、大げさな力みとは無縁の円熟した表現で聴かせ、豊かな叙情性を心ゆくまで味わうことができた。一方、ベートーヴェン、ブラームスの交響曲がメインのドイツ・プログラムでは、張りつめた緊張感を維持しながら力感のこもった演奏を披露。フィナーレでは一気に高みへと登りつめて輝かしい音色を響かせ、満員の会場は喝采の嵐で包まれた。
両プログラムを通じてベテラン、キタエンコの、楽曲の本質と魅力を存分に引き出す指揮にウィーン放送交響楽団が見事に応え、この楽団の実力を再認識させられる公演となった。
名曲の数々を携えて、首席指揮者が二年ぶりの登場
最高峰の実力と人気を誇るウィーン・フィルハーモニーを筆頭に、世界有数の管弦楽団やオペラ劇場を懐に抱く街、ウィーン。その音楽の都の、世界一耳の肥えたウィーンの聴衆を虜にしているのが、2002年よりウィーン放送交響楽団の首席指揮者を務めているベルトラン・ドゥ・ビリーだ。今回は、ドゥ・ビリーが率いて満を持しての再来日公演となる。
Aプロは全てベートーヴェンの作品。「エグモント」序曲に、前回も好評を博した交響曲「運命」、同時期に作曲された交響曲「田園」の二つの大作が披露される。「傑作の森」と呼ばれるベートーヴェン中期の黄金時代に属する作品ばかりという、垂涎のプログラムだ。作曲家としての生涯をウィーンで過ごしたベートーヴェンの音楽への情熱は、脈々と受け継がれ、現代のウィーンの演奏家にも熱く息づいていることだろう。
Bプロはがらりと雰囲気が変わって、フランスとスペインの名曲が演奏される。変化に富んだ表情が魅力のバレエ音楽「三角帽子」、バレエ作品に使用されるなど人々の想像力をかきたててきたドビュッシー「牧神の午後への前奏曲」。「3つの交響的素描『海』」はドビュッシーの代表作であるとともに、印象主義音楽の最高傑作といわれる作品。当時パリで流行していたジャポニズムの影響が感じられ、葛飾北斎の浮世絵にインスピレーションを受けたとも伝えられる、日本人には特に親しみやすい曲だ。フランス人のドゥ・ビリーならではの選曲で、豊かなイマジネーションの世界へと誘われる珠玉の名作がそろった。
今まさに、大物へと変貌を遂げつつあるソリストを見逃すな!
もう一つの朗報は、ドゥ・ビリーと同じフランス出身の“ハープの貴公子”、グザヴィエ・ドゥ・メストレのBプロへの出演だ。
1998年、権威あるUSA国際ハープ・コンクール(ブルーミントン)で優勝し、若くしてウィーン・フィルハーモニーのソロ・ハープ奏者となったメストレは、その多彩な表現力で従来のハープの女性的なイメージを一新してしまったといわれる、気鋭の演奏家だ。リサイタルや音楽祭への出演などにも活動を広げ、世界にその名を轟かせつつある。
そのメストレが今回ウィーン放送交響楽団と共に披露するのは、「アランフェス協奏曲」のハープ版。スペインの作曲家ロドリーゴがギター協奏曲として作曲した「アランフェス協奏曲」は、哀愁ただよう美しい旋律でお馴染みだ。優雅で上品なだけにとどまらない、ハープの新しい魅力を表現し続けているメストレが、誰もが知るこの名曲をどのように演奏するのか。メストレのファン、いや、日本の全ての音楽ファンにとって、彼の魅力に触れるまたとない機会となった。
古典から現代音楽まで膨大なレパートリーを誇り、才気に富んだウィーン放送交響楽団が、全く傾向の違うこの2つのプログラムを、新鮮な響きをもって色鮮やかに現出させることだろう。2010年の来日を、期待に胸を膨らませて待ちたい。

