ポーランドの歌姫 マリア

大成功を収めた、日本初リサイタル ―ヴェールを脱いだ「マリア」。

 歌声を聴きながら、涙を流している人がいた。
 2年前、日本で初めてのソロ公演―ステージ上でチャーミングな笑顔を振りまき、柔らかく、透き通った声が会場いっぱいに流れると、それはもう「マリアの世界」。プログラムが進めば進むほど、彼女の声に引き込まれ、ただただ聞き惚れるしかなかった・・・。
 普段はオペラ歌手として舞台に立つ彼女が、ミュージカル曲や人気曲を歌っても、これほどまでに魅力的だとは! 新鮮な驚きとともに、暖かな感動に全身を包まれた一夜だった。
 そして、再びあの素晴らしいコンサートが実現する。癒され、心洗われる歌声を、是非多くの方に聞いて頂きたい。

奇跡のクリスタルヴォイス!
心地よい歌声に包まれる、あの感銘をもう一度。

 人間の声が持つ力と、心をとろかす美しさを強く感じさせてくれる、ポーランドの歌姫「マリア」の類い希なる歌声。

  『フィガロの結婚』のケルビーノや『魔笛』のパミーナを当たり役とする彼女は、歌劇場ソリストとして来日する度、生き生きとした表情や柔らかく澄んだ歌声で私達を魅了してきた。次第に「リサイタルを聴いてみたい」と思う人が増えてきたのも当然のことだろう。そして、2年前の日本初リサイタルが実現した。

  オペラの名アリアだけでなく、ポップスの名曲やミュージカルの代表的ナンバーまでも、無理のない歌唱法で次々と語りかけるように歌っていく姿には、彼女の豊かな人間性がそのまま反映されているようだった。そう、オペラでの一役だけでは味わいきれない、彼女の声質の様々な魅力―美しさ、愛おしさ、清らかさ、温かさを存分に知ることができたのだ。

  あの「奇跡のクリスタルヴォイス」が再び聴けると思うと、いやが上にも期待に胸が膨らんでくる。押しつけがましくもなく、奇を衒(てら)ってもいない、ただ真っ直ぐに届く透き通った歌声には、あらゆる人の心に響き、満足させてしまうパワーがある。サラ・ブライトマンにも劣らない実力を持っている、と思った人が数多くいたのも頷けることである。
(音楽評論家 濱田貞行)