アルメニア・フィルハーモニー管弦楽団
キリスト教文化、西アジアのエキゾティシズム、スラブの陰影……
独特のミックス感がクラシック界に新たな興奮をもたらす!
若き指揮者エドゥアルド・トプチャンのタクトが紡ぎだす豪快華麗な音楽絵巻の数々。
アジア大陸の西、地図上に大きな海が二つ。カスピ海と黒海だ。その大海に挟まれる形で存在する有史最初のキリスト教国、アルメニア。かつてはソ連邦の一員だったが、現在は独立国家となり、周辺諸国とともに独立国家共同体(CIS)を形成している。そのアルメニアから、「アルメニア・フィルハーモニー管弦楽団」が初来日する。
西アジア、キリスト教、ロシアとの関係……と、多様な面を見せる小国だが、そのことがこの国の音楽家に独特の趣をもたらしている。その集約した姿が作曲家ハチャトゥリアン。そう、エキサイティングで強い民族色をたたえた名曲『ガイーヌ』の作曲者だ。このアルメニア人作曲家がソ連邦の中で地位を築き、ロシア人たちはこぞってアルメニア人の高い音楽性に注目したのだった。「アルメニア・フィルハーモニー管弦楽団」に限ってみても、今を時めく人気指揮者ゲルギエフが音楽監督を務めたこともあるし、さらにロリス・チェクナボリアンもこのオーケストラを率いて数多くの録音を残した。
そうした「ヨーロッパ+アジア+スラブ」という、他のオーケストラにはない特色を持った「アルメニア・フィルハーモニー管弦楽団」は2007年には創立80周年を迎えた。首都エレバンにあるハチャトゥリアンホールを本拠地に年間100回以上のコンサートを開催するほか、国外演奏活動にも積極的で、アメリカ、カナダ、ヨーロッパ諸国、中東へと歴訪している。
指揮はゲルギエフ、チェクナボリアンの後を継いだ若き獅子、エドゥアルド・トプチャン。ショルティ、アバド、ネルロ・サンティに師事し、2000年10月から音楽監督・首席指揮者として辣腕を振るっている。そんな彼が「アルメニア・フィルハーモニー管弦楽団」との初来日に選んだ曲目は、エキゾチックな香りとスラブの憂愁をたたえたプログラム。ハチャトゥリアンの『ガイーヌ』にヴァイオリン協奏曲、リムスキー=コルサコフ『シェヘラザード』、そしてチャイコフスキーの名曲など、このオーケストラの魅力を最大限に引きだすものばかりだ。
また、一輪のバラとして、カナダ生まれでアルメニア人の血を引く女性ヴァイオリニスト、カトリーヌ・マヌーキアンがチャイコフスキーとハチャトゥリアンのヴァイオリン協奏曲を演奏するのも話題だ。何度も来日して、日本のオーケストラとのコンチェルトやリサイタルを開いているが、祖国アルメニアのオーケストラとの共演は彼女自身にとって万感の思いがあるだろう。 2008年の深まる秋にふさわしいコンサートになること、必至だ。

